アポストロフィ

音素が脱落した場合、その音素があった場所にアポストロフィを置く。(連続した二音素が脱落しても、アポストロフィは一つ)
ただし、下記の規則に従う。

※他の規則による区別と比較してアポストロフィが付く語であるかどうかを確かめることがあまりにも大変である割に、同音異義語の判別に役立つことが殆ど無いと思われることと、同じく形態素境界に対して使われるハイフンの使用が基本的に任意であることから、アポストロフィの使用を任意とする。ただし、アポストロフィの前後で品詞が異なる(「異なった」ではない)と言える場合では、アポストロフィの使用を義務とする。
参考: 分かち書きと大文字


語中の場合:
複合語に於いて、ア行で始まる後部形態素の前で前部形態素末の母音(短母音/長母音/重母音)が脱落することによって拍内に形態素境界が出来ている場合は、その境界を示す為にアポストロフィを使う。
これを仮にエリジオン(élision仏)と呼ぶ。
ただし、次の場合を除く。
・エリジオンをした後に、更なるエリジオン以外の語形変化が起きた場合(次項で説明する語頭/語末でのアポストロフィの用法に当たる場合は除外)
・前後どちらかの形態素の存在が明らかではない場合
・前部形態素末と後部形態素頭の母音が混ざって別の母音字になった場合
・前部形態素末と後部形態素頭の母音字が同じであった場合(前部形態素末の母音の脱落とは言い切れない)
・活用語の語幹と語尾である場合

ア行一拍だけの形態素にとって母音の脱落は形態素丸ごとの脱落と言えるので、形式子音hも同時に脱落したものとみなす。(h’は発生しない)
音韻としてvu/jiが存在したという証拠は無いが、綴りの維持によってv’u/j’iは発生し得る。(cf. 五右衛門: Gohwemon)
連声では前部形態素末の母音脱落が起きていないので、アポストロフィを使わない。
参考: 拗音
以下、複合前の形態素は全て小文字で記号を省略して書く。

だらう・ダロー: de+arau >d’aráu(義務)
だった: d’átta(義務)
良かった[よかった]: jók’atta(義務)
たり(断定): to+ari >t’ari*(義務)
なり(断定): ni+ari >n’ari*(義務)
異なる: kotó n’aru(義務) >koton’áru(任意)
近江[あふみ・オーミ]: afa+umi >Áf’umi
遠江[とほたふみ・トートーミ]: tofotu+afa+umi >Tofot’áf’umi
中臣[なかとみ]: nakatu+omi >Nakat’omi
朝臣[あそむ・アソン]: asa+omi >Ás’omi >Ásom
我家[わぎへ・ワギエ]: vaga+ife >Vag’ife*
我妹[わぎも]: vaga+imaw >Vag’imaw*
河内[かふち・コーチ]: kafa+uti >Kaf’uti*
盥[たらひ・タライ]: te+arafi >T’arafi
鰹[かつを・カツオ]: kata+uvo >Kat’uvo(?)
紅[くれなゐ・クレナイ]: kureno+avi >Kuren’avi
掲げる[かかげる]: kaki+agayru >kak’agayru
擡げる[もたげる]: mote+agayru >mot’agayru
向かふ[むかふ・ムカウ]: muki+afu >muk’afü
迎へる[むかへる・ムカエル]: muki+afayru >muk’afayru
答へる[こたへる・コタエル]: koto+afu >kot’afu* >kot’afáyru/kot’áfayru
こなひだ・コナイダ: kono+afida >kon’afida(義務)/Kon’afidá(任意)
したげる: site+agayru >sit’agayru(義務)
cf.
靫負[ゆげひ・ユゲイ]: juki+ofi >Jukefi* >Jugefi*
然り[しかり]: sika+ari >sikári
御座る[ござる]: goza+aru >gozáru
御座います[ございます]: gozaimásu
入る[はひる・ハイル]: xafi+iru >xáfiru
裸足[はだし]: xada+asi >Xadasi
みちのく: mitino+oku >Mitinóku/Mitinoku
やら: ja+aramu >jaramu* >jára
仰る[おっしゃる]: ofose+aru >ossyáru
な: ni+aru >n’aru* >na
だ: de+aru >(deharu*) >(deha*) >dea* >da
ぢゃ・ジャ: de+aru >(deharu*) >(deha*) >dea* >dya
ぢゃ・ジャ: de+fa >dya
しちゃ: site+fa >sitya
ありゃ: are+fa >Arya
書いた[かいた]: kaite+ari >káita
せり: si+ari >seri*
来り[けり]: ki+ari >keri*
高けれ[たかけれ]: takakere*
曰く[いはく・イワク]: ífaku
言ひしく[いひしく・イーシク]: ifisiku*
やがる: -hagáru >-jagáru
真っ青[まっさを・マッサオ]: massávo
霧雨[きりさめ]: Kuyrisamay
紫陽花[あぢさゐ・アジサイ]: Adisavi
出来[しゅったい]: Syuturai >Syuttai
やっちゃる: jatte+jaru >jattyaru
しちゃる: site+jaru >sityaru
やっちまふ: jatte+simafu >jattimafü
しちまふ・シチマウ: site+simafu >sitimafü
死んぢまふ[しんぢまふ・シンジマウ]: sinde+simafu >sindimafü
やっとる: jatte+vóru >jattóru
しとる: site+vóru >sitóru
してる: site+viru >siteru


語頭/語末の場合:
「丁寧な言い方でない」と強調したい場合に使うのが良いと考える。
ただし、他の語と複合して語中になった場合は、上記の規則に従う。
語頭のhの省略を示すことは無い。

有らむ[あらむ] >有らむ[あらむ・アラン]: aramu* >aram’*
やらぬ >やらん: jaranu* >jarán’
何で[なんで]: Nán’ de/Nánde/nánde(「Nán’ de」と「Nánde」との間には区別する程の違いは無い)
わたし >あたし: Vatasi >Atasi/’Atasi
cf.
出来る[できる] >出来ん[できん]: dekíru >dekín
為む方[せむかた・センカタ]: Sémkata
御座いません(丁寧): gozaimasén


アポストロフィを扱えない場合は、アポストロフィを省略する。


正書法(凡例)

原則
直音
拗音
長音
促音
撥音
上代特殊仮名遣
アクセント
特殊な記号
外来音と外来語
分かち書きと大文字
Inglisc

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